4月になり、新入社員が入社してくる季節です。
そこで、年度初めに確認しておきたいことがあります。
(例)出勤時間:9時00分 退社時間:18時27分(休憩1時間)
このような場合、残業時間はどのように計算されていますか?
15分単位なので「15分」という会社もあると思います。
うちは30分単位!ということで、「残業なし」という会社もあるかも知れません。
曖昧になりがちなタイムカードの集計問題ですが、
給与計算におけるタイムカード集計時に、
1日単位で30分未満切捨て、30分以上切上げ、という計算方法は違法です。
労基法第24条第1項において、
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。
この「全額」という部分に違反するためです。
ただし、「1日単位で30分未満切り捨て」は禁止ですが、1ヶ月の合計においては
「30分未満切り捨て、30分以上切上げ」とすることは認められています。
★参考通達(昭和63.3.14基発150号)
割増賃金計算における端数処理として、次の方法は、常に労働者の不利になるものではなく、
事務簡便をも目的としたものと認められるから、法第24条及び第37条違反としては取り扱わない。
(1)1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
この計算方法については、会社内で給与計算をしている場合に、かなりよくある間違いです。
実際、私も昔、総務として給与計算を行っていた際は、経理のベテランの先輩から
「15分未満は切り捨てるからね」と教えられました。社労士の勉強を始めたとき、一番驚いた点です。
このように、給与計算を自社で行っている場合は、社長の目の届かないところで
違法な給与計算が普通に行われていることがよくあります。
自社で給与計算をしている場合には、年度初めのこの時期に、
「タイムカードを1分単位で計算しているか」という確認をしておきましょう。
15分単位、30分単位で切り捨てていた時間は労働時間として積み重なり、
未払い賃金扱いとなってしまいます。
パスタで有名なチェーン店や、餃子で有名なチェーン店では、労働基準監督署からの是正勧告により、
15分未満を切り捨てていた分を過去2年遡って支払う命令が行われ、未払い賃金2億5500万円を
支払っています。
また、未払い賃金には付加金が請求される場合もあります。知らないうちに違法行為を行ってしまい、
後で困らないように、必ず給与計算担当者に確認を行っておきましょう。
先日、桜の絨毯を見つけました。
和泉市はもうそろそろ桜もおしまいですが、今はピンク色の絨毯で楽しませてくれています。
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